無店舗型性風俗特殊営業

無店舗型性風俗特殊営業(むてんぽがたせいふうぞくとくしゅえいぎょう)とは、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)第2条第7項に規定される営業形態の一区分であり、性風俗関連特殊営業の一種に位置づけられる。固定した店舗(営業所)を設けることなく、客の求めに応じて従業者を派遣する形式、または通信手段を介してアダルト関連物品を販売・配達する形式により性的なサービスや物品を提供することを特徴とする。具体的には、いわゆるデリヘル(デリバリーヘルス)を代表例とする「派遣型ファッションヘルス等」(1号営業)と、アダルトビデオ等の通信販売(2号営業)の2種類に分類される。営業にあたっては公安委員会への届出が義務づけられており、許可制をとる風俗営業とは異なり届出制が採用されているが、18歳未満の者の従業や接客に係る禁止規定、広告・宣伝規制、従業者名簿の備付け義務など、法律上の詳細な規制に服する。1998年(平成10年)の風営法改正によって現行の規定が整備され、2025年(令和7年)改正では罰則の大幅な強化が行われた。

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概要

無店舗型性風俗特殊営業は、風俗産業の中でも「店舗を持たない」点が最大の法的特徴である。店舗型性風俗特殊営業が固定店舗内でサービスを完結させるのに対し、無店舗型は客の指定する場所(住居・ラブホテル・ビジネスホテルなど)に従業者を派遣することでサービスが提供される。このため、自治体ごとに設定される用途地域・保護対象施設からの距離制限といった営業禁止区域の適用を直接受けることはなく、営業所(事務所)の立地に関しては店舗型より自由度が高い点が法制度上の特徴の一つとして挙げられる。

同法における性風俗関連特殊営業は、①店舗型性風俗特殊営業、②無店舗型性風俗特殊営業、③映像送信型性風俗特殊営業、④店舗型電話異性紹介営業、⑤無店舗型電話異性紹介営業という5形態から構成される。無店舗型性風俗特殊営業はその第二の区分にあたり、風俗産業の中でも市場規模が比較的大きい業態を多く含む。

実務上は、派遣型の業態としてデリヘル(デリバリーヘルス)ホテヘル(ホテルヘルス)メンズエステ(一部)・回春エステ(一部)・M性感(一部)などが、1号営業に該当しうる業態として広く知られている。ただし、メンズエステ回春エステについては、実際に提供するサービスの内容によって法的区分が異なり、届出の要否についても慎重な検討が求められる。


法的位置づけ

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律における分類

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)は昭和23年(1948年)に「風俗営業取締法」として制定された法律を母体とし、昭和59年(1984年)の大幅改正を経て現在の題名に改められた。同法は主務官庁を警察庁生活安全局保安課とし、国家公安委員会が所管する。

同法第2条は各種営業の定義規定を置いており、風俗営業(第1項)、性風俗関連特殊営業(第5項)、店舗型性風俗特殊営業(第6項)、無店舗型性風俗特殊営業(第7項)、映像送信型性風俗特殊営業(第8項)などを区別している。無店舗型性風俗特殊営業は同条第7項に定義され、店舗という固定施設を持たずに性的なサービスや物品を提供することを要件とする点で、ほかの区分と区別される。

法の目的(第1条)は「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止すること」とされており、無店舗型性風俗特殊営業に対する規制もこの目的に沿って設けられている。

性風俗関連特殊営業の体系における位置づけ

性風俗関連特殊営業のうち、店舗型性風俗特殊営業が届出制(一部地域では実質的に禁止区域規制の影響を強く受ける)であるのに対し、無店舗型性風俗特殊営業も届出制が採られている。ただし、届出先は各都道府県の公安委員会(実際の窓口は営業所所在地を管轄する警察署の生活安全課)であり、許可制をとる風俗営業(キャバクラ・ホストクラブなどの接待飲食等営業)とは制度上明確に区別される。届出制であることは、審査における自由裁量の余地が許可制よりも限定されることを意味するが、一方で各種義務規定の遵守が求められることに変わりはない。


営業の種別

無店舗型性風俗特殊営業は、風営法第2条第7項により次の2種類(号)に分類される。

通称・業態例法律上の定義サービス提供形態
1号営業派遣型ファッションヘルス等
(デリヘル、ホテヘル など)
人の住居または人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの従業者を客の指定する場所(自宅・ホテルなど)へ派遣し、その場でサービスを提供する
2号営業アダルトビデオ等通信販売営業
(アダルト商品の通販・配送)
電話その他の方法による客の依頼を受けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、または貸し付ける営業で、当該物品を配達し、または配達させることにより営むもの電話・ネット等での注文を受け、アダルト関連物品を客の指定先へ配達する

1号営業(派遣型ファッションヘルス等)

1号営業は「派遣型」と呼ばれることが多く、デリヘル(デリバリーヘルス)がその代表的な業態として知られる。従業者(一般に「キャスト」と呼ばれる)が客の依頼を受けてホテルや客の自宅などに赴き、異性の客の性的好奇心に応じた役務(接触を伴うサービス)を提供する形態である。サービスが提供される場所は、宿泊施設(ビジネスホテル・ラブホテル・カプセルホテルなど)または人の住居(マンション・一戸建てなど)に限定されており、いわゆる待機所・事務所内等でサービスを完結させる場合は店舗型に該当する可能性がある点に注意が必要である。

また、ホテヘル(ホテルヘルス)はデリヘルの一形態として位置づけられ、主としてホテルの客室を指定された場所として活動する。法律上の区分としては、どちらも1号営業の枠内に収まる。

1号営業は、固定店舗(いわゆる「箱」)を持たないため開業コストが店舗型に比べて低く抑えられる傾向がある。また、後述のとおり店舗型に存在するような保護対象施設からの距離規制(立地規制)の直接的な適用がないことから、過去から継続的に市場規模の拡大が指摘されてきた。

2号営業(アダルトビデオ等通信販売営業)

2号営業は、電話・インターネットなどを通じて注文を受け、「政令で定める物品」(性的好奇心をそそる写真、映像、グッズ等)を配達する形で提供する業態である。いわゆるアダルトグッズ・AVのアウトレット型通販とは異なり、本号は客から注文を受けて「配達・配達させる」ことによって営業する点が要件であり、固定店舗で来店販売を行う場合は店舗型性風俗特殊営業(5号営業:アダルトショップ等)に該当する。

近年はインターネット通販の普及により、この形態での営業の実態はかつてと変化しているが、法律上の要件は当初の規定が維持されており、対象となる物品の範囲は政令(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令)によって定められている。なお、アダルトショップのように固定店舗で販売を行う業態は、別途、店舗型性風俗特殊営業の5号営業として規定される。


届出制度と手続き

届出の要件

無店舗型性風俗特殊営業を開始しようとする者は、風営法第31条の2第1項に基づき、営業開始の10日前までに、営業所(事務所)の所在地を管轄する公安委員会に対して届出を行わなければならない。届出が受理されると「届出確認書」が交付され、これを事務所に備え付ける義務がある。届出受理から10日が経過した後に営業を開始することができ、10日を待たずに営業した場合は無届営業として罰則の対象となりうる。

届出には以下の主な要件を満たすことが求められる。

  • 事務所の確保:営業の本拠となる事務所(または待機所を別途設ける場合はその場所)を確保し、賃貸物件の場合は賃貸借契約書および建物所有者による「無店舗型性風俗特殊営業の事務所としての使用承諾書」が必要となる。
  • 管理者の選任:成年で欠格事由(風営法違反歴等)のない者を管理者として選任すること。
  • 営業方法の明確化:集客方法(使用するウェブサイトのURL・SNS・雑誌広告等)、派遣先の地域・施設の種別、料金体系などを届出書面に具体的に記載すること。
  • 18歳未満の排除未成年(18歳未満)の者を客に接する業務に従事させないための体制(年齢確認手順など)を整えること。

主な必要書類

届出に必要な書類は都道府県ごとに様式が定められているが、一般的には以下のものが求められる。

  • 無店舗型性風俗特殊営業開始届出書(各都道府県警察の所定様式)
  • 営業方法を記載した書面(集客方法・派遣形態・料金・派遣地域等)
  • 事務所の賃貸借契約書・使用承諾書・平面図
  • 営業者(個人・法人)の住民票(本籍記載・個人番号省略)
  • 法人の場合:登記事項証明書・定款
  • 管理者の住民票・誓約書
  • 待機所を設ける場合:待機所の賃貸借契約書・使用承諾書・平面図

変更届・廃止届

届出内容に変更が生じた場合(管理者の変更、事務所の移転、電話番号の変更、営業方法の変更など)は、変更の日から10日以内に変更届を提出する義務がある(風営法第31条の2第2項)。また、営業を廃止する場合も同様に届出が必要であり、これを怠ると風営法違反として行政指導・罰則の対象となりうる。


規制内容

禁止事項

風営法第31条の3第3項は、無店舗型性風俗特殊営業を営む者がその営業に関し行ってはならない行為として、次の事項を明示している。

  • 18歳未満の者を客に接する業務に従事させること
  • 18歳未満の者を客とすること

また、同法に基づき、以下の行為も禁止されている。

  • 届出をせずに営業を行うこと(無届営業)
  • 届出内容と異なる方法・内容で営業を行うこと
  • 虚偽の届出を行うこと
  • 接客従業者に対し、不当な債務を負担させる等の拘束的行為を行うこと(第31条の3第1項・第2項準用)
  • 客引き行為(迷惑防止条例等によっても規制される)
  • 2025年改正により新設:スカウト(紹介業者等)に対して報酬(スカウトバック)を支払うこと

義務事項

無店舗型性風俗特殊営業を営む者には、法律上以下の主な義務が課されている。

  • 従業者名簿の備付け:従業者(キャスト等)の氏名・生年月日・住所・採用日・退職日等を記載した名簿を作成し、事務所に備え付けるとともに退職後3年間は保存しなければならない。
  • 年齢確認義務:採用時に身分証明書等によって18歳以上であることを確認すること。
  • 届出確認書の備付け・提示:公安委員会から交付された届出確認書を事務所に備え付け、関係者から請求があったときは提示すること(風営法第31条の3第1項・第28条第5項準用)。
  • 変更・廃止の届出:届出事項に変更が生じた場合または廃業した場合の届出(変更後10日以内)。

広告規制

風営法第31条の2の2は、無店舗型性風俗特殊営業を営む者に対し、一定の方法による広告・宣伝を禁止している。具体的には、学校・図書館・児童福祉施設等の保護対象施設の周囲200メートル以内の区域における広告配布等が禁止されるほか、誇大広告・虚偽広告、18歳未満の者の利用を誘引する表現の使用も禁止される。また、届出書面に記載した広告方法以外の方法で広告・宣伝を行うことも届出義務違反に問われうる。

近年はウェブサイト・SNSでの集客が主流となっていることから、公安委員会への届出書には使用するURLやSNSアカウントの記載が求められる例が増えており、届出外のオンライン広告を使用した場合には行政指導・罰則の対象となりうる。

接客従業者の保護

風営法第31条の3は、店舗型・無店舗型を問わず性風俗特殊営業を営む者が接客従業者(キャスト等)に対して行ってはならない「拘束的行為」を定めている。具体的には、不当な債務を負担させること(例:いわゆる「前借り」による借金を理由にした拘束)、辞職を妨害すること、パスポートや在留資格証明書を保管することなどが禁止される。また、労働基準法の規定と相まって、従業者の権利が法的に保護される仕組みが設けられている。

無店舗型性風俗特殊営業では、従業者がいわゆる業務委託契約を締結する形式(個人事業主)であることが多く、この場合は「フリーランス」として扱われる。2024年11月に施行されたフリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の施行以降、事業者は契約条件や報酬支払いに関してより厳格な対応が求められるようになっている。


店舗型性風俗特殊営業との相違点

無店舗型性風俗特殊営業と店舗型性風俗特殊営業は、いずれも性風俗関連特殊営業の一区分であり、届出制・18歳未満者禁止・従業者名簿備付けなどの共通規制を受ける。しかし両者の間には法制度上・実務上いくつかの重要な相違点がある。

項目無店舗型性風俗特殊営業店舗型性風俗特殊営業
サービス提供場所客の住居・宿泊施設(ホテル等)固定店舗内(専用個室等)
立地規制(禁止区域)事務所・待機所には立地規制(用途地域等)の影響があるが、営業行為自体を禁止する区域指定は存在しない学校・図書館等の保護対象施設から200m以内等の禁止区域あり。都道府県条例で更に厳格な規制が定められる場合もある
営業時間規制原則として時間規制なし(24時間営業も可能)深夜0時以降の営業が原則禁止(都道府県条例により例外あり)
施設・構造要件固定店舗を要しない個室設置等の構造要件あり
典型的な業態例デリヘル(デリバリーヘルス)ホテヘル(ホテルヘルス)・アダルト通販等ソープランドファッションヘルスイメクラ(イメージクラブ)のぞき部屋アダルトショップ
開業コストの傾向固定店舗を要しないため比較的低い傾向内装・構造要件等への対応が必要で高くなる傾向

なお、「待機所」を設ける場合の取り扱いについては注意が必要である。2005年(平成17年)の風営法改正以降、デリヘルの受付所等は「店舗」とみなされる可能性があるとして、待機所を設ける場合は公安委員会への届出を要し、禁止区域内に存在する場合は摘発対象となりうることが実務上明示された。


沿革

1998年改正による創設

「無店舗型性風俗特殊営業」という区分は、1998年(平成10年)5月の風営法改正によって法律上に初めて設けられた。同改正は翌1999年(平成11年)4月に施行され、出張マッサージ・派遣型サービスなどの無店舗型の性風俗営業、およびインターネット等を利用した映像送信型性風俗営業が新たに届出対象として整備された。

この改正以前は、出張型・派遣型の性風俗サービスは明確な法的規定が存在しなかったが、同改正によって制度的な位置づけが整理された。日本弁護士連合会が提出した女性差別撤廃条約に基づく報告書(第4回)においても、「1998年4月、無店舗型性風俗特殊営業を届出制に組み込み」と記述されており、同改正が当時の社会的な性風俗産業の実態変化に対応する性質のものであったことが示されている。

その後の主な改正

2001年(平成13年)6月の改正(同年施行)では、いわゆるテレホンクラブ・ツーショットダイヤル等を「店舗型電話異性紹介営業」「無店舗型電話異性紹介営業」として風俗関連営業に追加する改正が行われ、無店舗型性風俗特殊営業の周辺の規定も整備された。

2005年(平成17年)11月の改正(2006年5月施行)では、罰則の強化・届出確認書制度の整備・客引き行為の禁止規定の明確化などが行われた。また同改正において、派遣型ファッションヘルス(デリヘル)の「受付所」は店舗とみなされる旨の解釈が実務上明示された。

2025年改正風営法の影響

2025年(令和7年)に成立・施行された改正風営法(令和7年法律第45号)は、主にホストクラブ等による悪質な売掛金問題への対応を契機とした改正であるが、無店舗型性風俗特殊営業にも影響を及ぼす規定が複数含まれている。

改正の主要な柱は以下のとおりである。

①無許可営業等に対する罰則の強化
改正前の「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科」から、改正後は個人については「5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金または併科」、法人については「3億円以下の罰金」へと大幅に引き上げられた(改正法第49条、第57条)。性風俗関連特殊営業の一部(保護対象施設の禁止区域等に違反する営業など)も、この罰則強化の対象に含まれる。

②性風俗店によるスカウトバックの禁止
性風俗店が、求職者を紹介したスカウト等に対して報酬(スカウトバック)を支払うことが明示的に禁止され、違反者には「6か月以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される規定が新設された。これはホストクラブへの多額の売掛金返済のために性風俗店へと「押し出される」女性の問題を背景とするものである。

③不適格者の排除規定の強化
暴力団関係者等による営業への関与を防ぐため、欠格事由・密接関係法人に係る規定が拡充された。処分逃れのための許可証返納を欠格事由とする規定の追加、親会社等密接関係法人が許可取消を受けた場合に申請者も欠格とする規定などが設けられ、2025年11月28日施行の施行規則改正により詳細な基準が規定された。

なお、性風俗関連特殊営業は届出制のため、許可制の風俗営業に適用される欠格事由の規定は直接適用されない。しかし、上記の罰則強化などを通じて違法営業への牽制効果が高まっている。


行政処分・罰則

行政処分

公安委員会は、無店舗型性風俗特殊営業を営む者またはその代理人・使用人等が当該営業に関し法令に違反した場合、風営法第31条の4に基づき当該営業者に対して指示を行うことができ、指示に従わない場合または重大な違反があった場合は、風営法第31条の5に基づいて営業の停止を命ずることができる。なお、風俗営業(許可制)と異なり、性風俗関連特殊営業は届出制であるため「許可の取消し」という行政処分形式は存在せず、「営業停止命令」が主たる行政処分手段となる。

刑事罰

風営法は、無店舗型性風俗特殊営業に関し以下の主な罰則を定めている。

  • 無届営業(法第53条):6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその併科
  • 禁止区域等での違法な性風俗特殊営業(2025年改正法第49条):5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科(法人は3億円以下の罰金)
  • スカウトバック支払い(2025年改正後):6か月以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 従業者名簿の不備・不記載(法第52条):100万円以下の罰金
  • 虚偽の届出(法第52条):100万円以下の罰金
  • 18歳未満の者を従業・客とする行為(法第52条):100万円以下の罰金

また、法人の代表者または法人・個人の代理人・使用人等が業務に関して違反行為を行った場合、行為者を罰するほか法人・個人事業主についても処罰を行う「両罰規定」(法第57条)が定められており、組織的な違反には法人としての高額罰金が科されうる。


関連分野の基礎知識

売春防止法との関係

売春防止法(昭和31年法律第118号)は、売春(性交の対償として金品を受けることを目的とした性交)を禁じ、その周旋・強要・勧誘等も処罰対象としている。無店舗型性風俗特殊営業を含む性風俗関連特殊営業は、その営業形態として性交自体を直接提供するものは法律上想定されておらず(ソープランドは公衆浴場法の適用下で特殊な位置にある)、届出を受けて適法に行われている営業行為は、原則として売春防止法の対象となる「売春」とは区別される。ただし、実際のサービス提供において売春に該当する行為が行われた場合は、同法の規定が適用されうる。

職業安定法との関係

職業安定法は、無許可での職業あっせん(求人・求職のマッチング)を規制する。性風俗関連特殊営業への従業者の紹介・あっせんについては、同法第63条に基づき、公衆衛生または公衆道徳上有害な業務への職業紹介が禁止されており、違反した者には刑事罰が科される。2025年改正風営法では、無店舗型性風俗特殊営業を含む性風俗店がスカウトに対してスカウトバックを支払うことが風営法上も明示的に禁止された。

フリーランス保護新法との関係

2024年(令和6年)11月施行のフリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、フリーランス(個人事業主)として働く者を使用する事業者に対し、業務内容・報酬の書面明示、報酬の期日内支払い、ハラスメント対策等を義務づけている。無店舗型性風俗特殊営業では、多くのキャストが業務委託契約のもとで稼働しているため、事業者は同法の規定を遵守した契約書の整備・報酬明細の提示等が求められるようになった。

労働基準法との関係

キャストが業務委託ではなく雇用契約に基づく被雇用者として従事する場合、労働基準法が全面的に適用される。最低賃金・残業代・休日等に関する規定が適用されるほか、18歳未満の者については年少者に関する労働基準法の規定(第56条以下)も適用される。従業者の就労形態(雇用か業務委託か)は法律上の取り扱いに大きな影響をもたらすことから、実態に即した契約形態の整備が求められる。なお、未成年(18歳未満)の者については、風営法・労働基準法の双方が禁止規定を設けており、二重の規制がかかる。

AV新法・インボイス制度との関係

2022年(令和4年)に成立したAV新法(AV出演被害防止・救済法)は主に映像コンテンツへの出演を対象としているが、性風俗産業全体において、出演・参加に関する本人の同意確保・被害者救済に対する関心を高めた法律として関連する。また、個人事業主として稼働するキャストに対しては、2023年(令和5年)10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)の対応も課題とされており、免税事業者課税事業者(適格請求書発行事業者)の選択が従業者個々の税務上の問題として浮上している。


脚注・注釈・出典

  1. 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第1条・第2条第7項。法令全文は国の行政機関が運営するe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000122)で参照できる。
  2. 警視庁「風俗営業等業種一覧」(2025年8月7日更新、https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/fuzoku/gyoshu_ichiran.html)。同ページは各業種の定義を所管行政機関が公式に示したものであり、一次情報として参照した。
  3. 風営法第2条第7項(前掲e-Gov法令検索)。1号・2号の定義は同項第1号・第2号による。
  4. 風営法第31条の2第1項(前掲e-Gov法令検索)。「無店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、(中略)営業を開始しようとする日の10日前までに、(中略)公安委員会に(中略)届け出なければならない。」
  5. 風営法第31条の3第3項(Lawzilla法令データベース 2026年2月27日確認版 https://lawzilla.jp/law/323AC0000000122?n=ln31_3.3&mode=only)。「3 無店舗型性風俗特殊営業を営む者は、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。一 十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。二 十八歳未満の者を客とすること。」
  6. 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第106条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/360M50400000001/20250301_507M60400000002)。従業者名簿は退職の日から起算して3年間保存義務がある。
  7. 日本弁護士連合会「女性差別撤廃条約に基づく第4回日本政府報告書に対する日本弁護士連合会の意見書」(https://www.nichibenren.or.jp/activity/international/library/human_rights/woman_report-4th_jfba.html)。「1998年4月、無店舗型性風俗特殊営業を届出制に組み込み」と記述。また、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律のWikipedia記事(Wikipedia:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)および警察庁資料も参照した。

関連項目


外部リンク

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