マットヘルス

マットヘルスは、ローションを使用したマットプレイを主要なサービスとする店舗型性風俗特殊営業の一形態である。ファッションヘルスの一種として分類されるが、ビニール製エアマットとローションを用いた特殊なプレイを提供する点で特徴的な業態である。法律上は風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)における店舗型性風俗特殊営業2号営業に該当し、公安委員会への届出が義務付けられている。

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概要

マットヘルスは、店舗内の個室に設置された浴室またはプレイルームにおいて、ビニール製のエアマット上でローションを使用したプレイを提供する性風俗関連特殊営業である。ソープランドと類似したマットプレイを提供するが、売春防止法に基づき性交類似行為までに限定される点が法的に異なる。

2026年現在、日本全国の主要都市において営業が行われており、料金相場は40分で8,000円から15,000円程度、90分で15,000円から25,000円程度となっている。デリヘル(デリバリーヘルス)や一般的なファッションヘルスと比較すると、設備投資や技術習得の必要性から料金はやや高めに設定される傾向にある。

歴史

発祥と発展

マットプレイの技術は、1950年代から1970年代にかけて特殊浴場(後のソープランド)において開発されたとされる。1958年に東京都台東区の特殊浴場で「泡踊り」と呼ばれる技術が登場し、その後エアマットを用いた技法へと進化した。

風俗店の歴史に関する資料によれば、単なる性交だけでなく「アワ踊り」「マット」などの性技が次々に開発され、特殊浴場における重要なサービスとして確立されていった。1984年のトルコ風呂からソープランドへの名称変更後も、マットプレイは継続して提供されている。

マットヘルスの成立

1980年代後半から1990年代にかけて、ソープランドよりも低料金で類似したマットプレイを提供する業態として、マットヘルスが登場した。これはファッションヘルスの派生形として発展し、ソープランドで培われた技術を活用しながらも、本番行為を伴わない形態で営業することで法的規制に対応した業態である。

売春防止法により性交を伴うサービスは違法とされる一方、風営法上の届出制により合法的に営業できる店舗型性風俗特殊営業として、マットヘルスは都市部を中心に店舗数を拡大していった。

法的位置づけ

風営法上の分類

マットヘルスは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第2条第6項に定める店舗型性風俗特殊営業の第2号営業に該当する。

風営法第2条第6項第2号は以下のように定められている。

個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(第1号に該当する営業を除く。)

この規定により、マットヘルスは「店舗型ファッションヘルス」として法的に位置づけられる。営業開始に際しては、所在地を管轄する都道府県公安委員会への届出が義務付けられている。

主な法的規制

マットヘルスの営業には以下の法的規制が適用される。

営業地域の制限
風営法第28条により、学校、児童福祉施設、図書館等の周囲200メートル以内の区域、住居集合地域、商業地域以外の区域など、一定の地域での営業が禁止される。各都道府県の条例により、さらに詳細な営業禁止区域が定められている。

年齢制限
風営法第28条第12項により、18歳未満の者を従業員として雇用することは禁止されている。これに違反した場合、営業者は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科に処される。

営業時間の制限
各都道府県の条例により、深夜0時から早朝6時までの営業が原則として禁止される。ただし、地域によって営業可能時間が異なる場合がある。

禁止行為
売春防止法第3条により、性交またはその類似行為を対償を受けて行うことは禁止される。マットヘルスにおいても本番行為は違法であり、発覚した場合は営業停止処分や刑事罰の対象となる。

ソープランドとの法的相違

ソープランド公衆浴場法第1条第1項に規定する公衆浴場の施設として個室を設けている点で、風営法第2条第6項第1号営業に該当する。一方、マットヘルスは公衆浴場の許可を得ていない個室において営業を行うため、第2号営業に分類される。

この法的分類の違いにより、ソープランドとマットヘルスでは営業形態、規制内容、料金体系などに相違が生じている。

サービス内容

基本的なプレイの流れ

マットヘルスにおける標準的なサービスの流れは以下の通りである。

  1. 受付と案内
    来店客は受付で料金を支払い、キャストの選択または店側の案内により個室へと案内される。
  2. シャワー・洗体
    プレイ開始前に、清潔を保つためシャワーを浴びる。一部の店舗では、キャストによる洗体サービスが含まれる場合もある。
  3. マットプレイ
    浴室またはプレイルームに設置されたビニール製エアマット上で、ローションを使用したマットプレイが行われる。キャストが全身を使って客に密着し、様々な技術を駆使してサービスを提供する。
  4. ベッドプレイ
    マットプレイ後、ベッドに移動してさらなるサービスが行われる。フェラチオ素股などが提供される。
  5. 終了とシャワー
    プレイ終了後、再度シャワーを浴びて身支度を整え、退室となる。

マットプレイの技術

マットプレイには多様な技術が存在する。代表的なものとして以下が挙げられる。

千流(せんる)
キャストが客の体の上を上から下へ、または下から上へと滑り降りる、あるいは滑り上がる技法。「千流下り」「千流上り」など方向によって名称が異なる。

横千流(よこせんる)
客の体の横側をキャストが滑走する技法。

松葉崩し(まつばくずし)
キャストが客の脚を開いて密着する技法。裏返しで行う場合は「裏松葉崩し」と呼ばれる。

アメンボ
キャストが四つん這いの姿勢で客の体に覆いかぶさるようにして行う技法。

指舐め
客の指を舐めるサービス。マットプレイの合間に行われることが多い。

カエルキック
キャストが蛙のような姿勢で客に密着する技法。

これらの技術はソープランドで培われたものを基礎としており、店舗やキャストによって独自のアレンジが加えられることもある。

使用される設備と用具

エアマット
ビニール製の空気注入式マットで、「エアーマット」「ラブマット」「ソープマット」「バブルマット」などの名称でも呼ばれる。一般的なサイズは縦180cm×横120cm程度で、厚さは空気量により調整可能である。

ローション
水溶性ポリマーを主成分とする業務用ローションが使用される。粉末状のものを温水で溶かして使用するタイプが一般的で、使用量は1回のプレイあたり100g~300g程度とされる。ローションの粘度は店舗により異なり、さらさらしたタイプから高粘度のものまで様々である。

その他設備
浴室またはプレイルームには、シャワー設備、温水設備、照明、空調設備などが整備されている。衛生管理のため、使い捨てのタオル類や消毒用具も常備される。

ソープランドとの比較

サービス内容の違い

マットヘルスとソープランドの最も大きな違いは、本番行為の有無である。

項目マットヘルスソープランド
本番行為禁止(売春防止法により違法)暗黙的に行われる
マットプレイ主要サービスサービスの一部
入浴サービス簡易的なシャワーまたは洗体本格的な入浴介助
プレイ時間40分~90分程度60分~120分以上
料金相場(2026年)8,000円~25,000円20,000円~100,000円以上
法的分類店舗型性風俗特殊営業2号店舗型性風俗特殊営業1号

施設面での違い

ソープランド公衆浴場法に基づく浴場施設として、一定の設備基準を満たす必要がある。一方、マットヘルスにはそのような義務はなく、より簡素な設備で営業可能である。

料金体系の違い

マットヘルスの料金は、ソープランドと比較して低価格に設定されている。これは本番行為を含まない点、施設維持費が低い点、プレイ時間が短い点などが要因となっている。ただし、一般的なファッションヘルスと比較すると、マットプレイという特殊技術を要するため、やや高めの料金設定となっている。

料金システム

基本料金体系

マットヘルスの料金体系は、時間制が基本である。2026年現在の全国的な料金相場は以下の通り。

短時間コース(40分~50分)
8,000円~13,000円程度

標準コース(60分~70分)
12,000円~18,000円程度

ロングコース(90分~120分)
15,000円~25,000円程度

料金は地域、店舗のランク、キャストの人気度などにより変動する。東京、大阪、名古屋などの大都市圏では料金が高めに設定される傾向にある。

追加料金

基本料金に加えて、以下のような追加料金が発生する場合がある。

指名料
特定のキャストを指名する場合に発生。2,000円~5,000円程度が一般的。

本指名
過去に利用したキャストを再度指名する場合の料金。初回指名料より低額に設定されることが多い。

延長料金
プレイ時間を延長する場合の追加料金。20分あたり5,000円~7,000円程度。

土日祝日料金
土日祝日には通常料金に1,000円~2,000円程度が加算される店舗もある。

割引システム

多くの店舗では、集客を目的として以下のような割引制度を設けている。

フリー割引
キャストを指名せず、店側の案内に従う場合の割引。指名料相当額が割引される。

新規割引
初回利用客に対する割引。1,000円~3,000円程度が一般的。

早朝・深夜割引
営業開始直後や営業終了間際の時間帯に対する割引。

会員割引
会員登録を行った顧客に対する各種割引制度。

求人と雇用形態

キャストの雇用形態

マットヘルスにおけるキャストの雇用形態は、大半が業務委託契約である。アルバイトとして雇用される場合もあるが、正社員契約社員としての雇用は稀である。

業務委託の場合、労働基準法の適用対象外となるため、社会保険の加入義務はなく、最低賃金の保障もない。一方で、勤務時間や勤務日を自由に設定できる柔軟性がある。

報酬体系

キャストの報酬は、歩合制が基本である。一般的な報酬体系は以下の通り。

バック率方式
売上金額の一定割合をキャストが受け取る方式。バック率は40%~60%程度が一般的。例えば、1時間15,000円のコースで50%バックの場合、キャストの取り分は7,500円となる。

時給制
一部の店舗では時給制を採用。時給18,000円~35,000円程度が相場とされる。指名料や各種手当が別途支給される場合もある。

保証制度
出勤しても客がつかない場合に備え、最低保証給を設定する店舗もある。日給保証として10,000円~20,000円程度が設定されることが多い。

月収の目安

2026年現在、マットヘルスキャストの平均的な月収は以下の通り。

  • 週3~4日勤務の場合:月収80万円~120万円程度
  • 週5~6日勤務の場合:月収120万円~200万円程度

人気キャストの場合、月収300万円以上を得ることも可能である。ただし、これらは業務委託として税金や保険料を自己負担する前の金額である点に留意が必要である。

男性スタッフの求人

マットヘルスにおける風俗男性求人としては、受付スタッフ、ボーイ、ドライバー、店長などの職種がある。

受付・ボーイ
月給25万円~40万円程度。客の案内、電話対応、清掃などが主な業務。

店長・マネージャー
月給40万円~60万円程度。店舗運営全般を統括する。

雇用形態は正社員契約社員アルバイトなど多様である。大手グループ店では社会保険完備の正社員採用を行っている場合もある。

衛生管理と感染症対策

基本的な衛生管理

マットヘルスにおける衛生管理は、営業の継続と顧客・従業員の健康保持のために重要な要素である。

使用器具の衛生管理
エアマットは使用後に洗浄・消毒が行われる。多くの店舗では客ごとにマット表面をアルコール消毒液や次亜塩素酸ナトリウム溶液で拭き取り、定期的に丸洗いを実施している。

タオル・リネン類
タオル、シーツ類は使い捨て、または客ごとに交換が行われる。業務用クリーニングサービスを利用する店舗が多い。

室内の清掃・消毒
プレイルームは客の利用後に清掃・消毒が行われる。床、壁、ドアノブ、照明スイッチなど、接触頻度の高い箇所は重点的に消毒される。

性感染症対策

性感染症(性病)の予防は、風俗営業において極めて重要な課題である。

定期検査
多くの店舗では、キャストに対して定期的な性感染症検査を実施している。検査頻度は月1回~月2回程度が一般的である。

コンドームの使用
オーラルサービスを含め、粘膜接触を伴うサービスにおいてはコンドームの使用が推奨されている。ただし、店舗や個別のサービス内容により対応は異なる。

体調管理
キャストの体調不良時には出勤を控えさせるなど、健康管理体制を整備している店舗もある。

新型感染症への対応

2020年代の新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、多くの店舗で以下のような対策が導入された。

  • 従業員のマスク着用
  • 手指消毒液の設置
  • 換気の強化
  • 非接触型検温器の導入
  • 飛沫感染防止用のアクリル板設置(受付など)

2026年現在も、これらの対策を継続している店舗が多数存在する。

業界の現状と動向

市場規模

日本の風俗産業全体の市場規模は、2026年時点で推定5兆円から6兆円とされる。このうちマットヘルスが占める割合は明確ではないが、店舗型ヘルス全体では数千億円規模の市場と推測される。

地域分布

マットヘルスは、東京、大阪、名古屋、福岡などの大都市圏に多く集中している。特に東京都内では、池袋、新宿、上野、錦糸町などのエリアに店舗が集積している。

風俗街として知られる地域では、マットヘルスがソープランドデリヘル(デリバリーヘルス)などと並んで営業している。

大手グループの展開

風俗業界の大手グループの中には、マットヘルスを運営するグループも存在する。これらのグループは複数店舗を展開し、統一的なサービス基準や従業員教育を実施している。

インターネットの影響

2026年現在、顧客はシティヘブンなどの風俗情報サイトを通じて店舗情報やキャストの写真、口コミなどを事前に確認することが一般的となっている。Web予約システムを導入する店舗も増加しており、電話予約からオンライン予約へのシフトが進んでいる。

関連する業態

ファッションヘルス

ファッションヘルスは、マットヘルスと同じく店舗型性風俗特殊営業2号営業に分類される。マットプレイを提供しない点が主な相違点である。

ホテヘル

ホテヘル(ホテルヘルス)は、ラブホテルなど店舗外でサービスを提供する業態。マットヘルスは店舗内でサービスを提供する点で異なる。

箱ヘル

箱ヘルは店舗型のファッションヘルスを指す俗称。マットヘルスも広義には箱ヘルの一種とされる。

イメクラ

イメクラ(イメージクラブ)は、シチュエーションプレイを主体とする業態。一部の店舗ではマットプレイを組み合わせたコースを提供している。

M性感

M性感は、男性客を受け身にしたプレイを提供する業態。マットプレイを取り入れた店舗も存在する。

コスプレ風俗

コスプレ風俗では、キャストが特定の衣装を着用してサービスを提供する。マットヘルスとコスプレを組み合わせた店舗も営業している。

利用上の注意点

法令遵守

マットヘルスの利用にあたっては、以下の法令遵守が求められる。

本番行為の禁止
売春防止法により性交は禁止されている。客側が本番行為を要求した場合も違法行為となり、店舗の営業停止や刑事罰の対象となる可能性がある。

年齢確認
18歳未満の利用は法律で禁止されている。入店時には身分証明書による年齢確認が行われる場合がある。

料金トラブルの回避

明朗会計の店舗を選択することが重要である。入店前に料金体系を確認し、追加料金の有無を明確にしておくことでトラブルを回避できる。

衛生面への配慮

性感染症(性病)のリスクは完全には排除できない。定期的な検査を実施している店舗を選ぶこと、不安がある場合は利用を控えることが望ましい。

プライバシーへの配慮

店舗側は顧客のプライバシー保護に配慮しているが、利用者自身も個人情報の取り扱いに注意が必要である。

脚注・出典

  1. 警視庁ホームページ「風俗営業等業種一覧」https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/fuzoku/gyoshu_ichiran.html
  2. e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000122
  3. Wikipedia「風俗店の歴史」https://ja.wikipedia.org/wiki/風俗店の歴史
  4. Wikipedia「ソープランド」https://ja.wikipedia.org/wiki/ソープランド
  5. Wikipedia「性風俗関連特殊営業」https://ja.wikipedia.org/wiki/性風俗関連特殊営業
  6. Wikipedia「ローションプレイ」https://ja.wikipedia.org/wiki/ローションプレイ
  7. Weblio辞書「性行為における風呂マットとは?」https://www.weblio.jp/content/性行為における風呂マット

関連項目

外部リンク


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