【社会人の基礎知識】求人詐欺に騙されるな!「入社したら給与が違う」時の即時退職権

「月給35万円以上!」という求人広告を見て入社したのに、最初の給与明細を見たら「総支給20万円」だった。夜職の世界では、このような「求人詐欺」とも言えるトラブルが後を絶ちません。

結論から言います。もし入社時に明示された条件と実際の待遇が違っていた場合、あなたは「即日で退職」することが法律で認められています。さらに、その仕事のために引っ越しをしていた場合、「実家へ帰るための旅費」まで会社に請求できる可能性があります。本記事では、労働基準法第15条が保障する強力な権利と、悪質な求人広告を見抜くための「職業安定法」の知識を徹底解説します。

目次

1. 最強の権利「即時解除権」を行使せよ

通常、正社員が退職するには「2週間前」の申し出が必要です(民法第627条)。しかし、話が違う場合は別です。

労働基準法第15条第2項の特例

労働基準法は、嘘の条件で労働者を集めることを許しません。

労働基準法第15条第2項
「明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」[1]

つまり、入社初日であっても、1ヶ月後であっても、「話が違う」と分かった瞬間に「辞めます」と言って、その場で契約を終了させることができるのです。会社側の「急に辞められたら困る」「損害賠償を請求する」といった脅しは、この法律の前では無効です。

引っ越し費用も取り戻せる?(帰郷旅費)

さらに、地方から上京して就職した人には強力な保護があります。

労働基準法第15条第3項
「前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。」[1]

もしあなたがその仕事のために引っ越しをし、条件相違で即時退職して実家(または元の住所)に帰る場合、会社は「帰りの交通費・宿泊費・食費」を支払う義務があります。これは泣き寝入りせずに必ず請求すべき権利です。

2. なぜ「求人詐欺」が起きるのか?(職業安定法の罠)

「求人票」と「契約書」の違いを理解していないと、この罠にはまります。

「見込み年収」と「固定給」のトリック

求人広告(求人票)に書かれている金額は、あくまで「募集時点での見込み」とされることが多く、法的には「契約の申し込みの誘引」に過ぎません。一方、入社時に交わす「労働条件通知書(雇用契約書)」が「最終的な契約内容」となります。

悪質な会社はここを突いてきます。

  • 求人広告: 「月給35万円(モデル月収)」と大きく書く。
  • 契約書: 「基本給18万円+歩合給」と小さく書く。

もしあなたが契約書にサインしてしまった場合、「合意した」とみなされるリスクがあります。だからこそ、サインする前の確認が生死を分けるのです。

職業安定法の罰則強化(2024年〜)

しかし、会社もやりたい放題ではありません。職業安定法の改正により、「虚偽の表示」「誤解を生じさせる表示」に対する罰則が強化されました。[2]

  • 虚偽求人: 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。
  • 誤解を招く求人: 行政指導や企業名の公表対象。

「試用期間中は給与が下がるのに、それを求人票に書かない」といった行為も違法です。

3. 騙された時の具体的アクションプラン

給与額が違うことが発覚したら、以下の手順で冷静に戦ってください。

ステップ1:証拠を並べる

「求人広告のスクリーンショット(または紙)」と「労働条件通知書(または給与明細)」を並べて、どこが違うのかを特定します。

  • 基本給が違うのか?
  • 手当が含まれていないのか?
  • 「固定残業代」が含まれているのか?

ステップ2:即時解除を通告する

会社に対して、以下の内容を(できれば書面やメールで)伝えます。
労働基準法第15条第2項に基づき、明示された労働条件(月給〇〇円)と事実(月給△△円)が相違するため、即時に労働契約を解除します。」

ステップ3:帰郷旅費を請求する(該当者のみ)

引っ越しをしていた場合は、こう付け加えます。
「同条第3項に基づき、帰郷のための旅費(〇〇円)を請求します。〇月〇日までに以下の口座に振り込んでください。」

4. まとめ:違和感を感じたらサインしない

最も重要なのは、「入社手続きの時に渡される書類」をその場で熟読することです。

面接官が「とりあえずここにハンコ押して」と急かしてきても、決して応じてはいけません。「求人票には35万とありましたが、この書類には18万とあります。どういうことですか?」と指摘してください。その答えが曖昧なら、その会社に入社してはいけません。

あなたの労働力は安売りするものではありません。法律という武器を持って、正当な対価を払わないブラック企業からは「即時撤退」するのが、賢い社会人の生存戦略です。


参考文献

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